銀砂染付立梅花瓶

銀砂染付立梅花瓶(ぎんしゃそめつけたちうめかびん)径14cm×高16.5cm

銀砂と呼ばれるマットなグレーの背景の中に染付の技法で梅の花と枝をデザインした花瓶です。この作品を見つめていると、筆を動かしている龍山の姿が見えてくるようです。
天目の黒い作品が有名な龍山ですが、染付の作品は50年にも及ぶ長い作陶生活の中で、大作から皿や湯呑などの食器に至るまで多く製作していました。
材料として使っていた染付の絵の具は昔から青木家に伝わる濃い色調のものです。

龍山が工場で仕事をするときは緊張感に包まれていて近寄りがたい雰囲気でした。
絵付け仕事をする机に向かっている時なども、静かな空間の中で筆は一定のリズムをもって焼き物の上を自由に迷いなく動いていました。
私はその仕事ぶりにしばしば見とれていたものです。
集中力を保ちながらも、元来絵を描くことが好きな龍山が楽しみながらこの花瓶に絵付けしていることが伝わってくるようです。

青木 敦子